魅惑の絶対君主
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好きにしてていいと言われたものの、スマホも持たないので週末に出された課題をテーブルに広げた。


GPSを付けて見張るくらいだから学校には行かせてもらいないんだろうな……とすでに半分諦めているけど

ひとりぼうっとしてると思考がマイナス方向に流れちゃうから、頭を使って気を紛らわすほうがよっぽどいい。



まずは英語の予習から。

英語の授業はひとり一文ずつ訳を読ませるところから始まるので、予めノートに記しておく必要がある。


『No problem.』とかのイディオム一つで終わる人もいれば、3行から4行も読まなきゃいけない人もいるので、なんだかなあ、といつも思っている。


しかも、その3行4行に当たる確率が、わたしは人より高い気がするんだよね……。


つくづく運がないのかな……なんて、結局暗いことを考えてしまった。


零れそうになったため息を呑み込んで、教科書に向き直る。

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