魅惑の絶対君主
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冬亜(とあ)〜、おかえりっ」


玄関を開けてすぐに耳を疑った。

お母さんがいる。



「えっ? 彼氏のところにいるんじゃなかったの?」

「あー……それが、別れちゃったんだよね〜」

「……、そっか」



彼氏と長続きしないのも、突然帰ってくるのも毎度のことだけど、今日はどこか違和感を覚えた。

……なんだろう?



「ていうか、もしかしてさっき取り立て屋来てた?」

「あ、うん。バイト代おろしたばっかりだったから、それ渡して今日はもう引き取ってもらえたけど……」

「あちゃ〜、新しい住所もバレちゃったか」



こんなときですら、焦りの「あ」の字も感じない。

これがお母さんだ。

常に楽観的なお母さんを見ていると良くも悪くも毒気を抜かれて、真剣に考えてるこっちがバカらしくなってくる。



「冬亜ありがとね。取り立ての男たち怖かったでしょ? すっごい怒鳴り声聞こえてたもん」

「や……ううん、全然大丈夫っ」

「ひゃ〜さすがママの娘〜! 冬亜だけが頼りだよ〜大好きっ」
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