魅惑の絶対君主
だけど、何か荷物を抱えているのが見えて、つい応答ボタンを押してしまう。
『あ、お世話になっております! 料亭・鏑木の者です。お食事をお届けに参りました!』
お食事……。
そのワードが、今朝の記憶と繋がった。
そういえば、ご飯が宅配されてくるって相楽さん言ってたっけ。
お箸の袋にも『鏑木』って印刷されてた気がする。
「い、今行きます……っ」
急いで玄関へと走る。
勝手に開けても、いいんだよね?
オートロックの扉を思い切ってえいっと押した。
「わざわざ出てきていただいてすみません。BOXに置き配指定で承っていたのですが、先ほど相楽様よりご連絡がありまして……」
「え……相楽さんからですか?」
「はい。宅配のことを同居人様に伝え忘れていたので今回だけは対面でお渡ししてほしい、とのことでした」
「なるほど、そうだったんですね」