魅惑の絶対君主


相楽さん、出先でもわたしのことを考えてくれたんだ……。


なんとなく嬉しくなって、箱を受け取りながらついほっぺたが緩んだ。



「ありがとうございます。今朝のお膳もすっごく美味しかったですっ」

「──……っ」

「……? あの、どうかされましたか……?」



相手が急に固まるから不安になる。

もしかして、今朝の寝癖が再発してたりする……?



「も、申し訳ありません、なんでもございません……! それでは、お渡し完了の通知を相楽様に送っておきますね」



相手は慌てたようにスマホを取り出して操作し始める。

そのスマホを見て、思わず「あ……」と声を出してしまった。


再び目が合う。



「あ……すみません、えっと……。スマホを貸して頂けないかなと、思って」

「えっ?」


──しまった。

勢い余って失礼なお願いをしてしまった。

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