魅惑の絶対君主


約束は“ここから出ない”ことだから、玄関先はセーフだよね?


そもそも今回、他でもない相楽さんが対面での配達をお願いしたわけだから、咎められるなんてことはないはず。


そう結論づけてから、ダイニングルームに移動した。



お昼のお膳もすごく豪華だった。

中でも豚の角煮が絶品で、お肉の柔らかさは感動もの。



商品の分際でこの贅沢は申し訳ないとすら思えてくる。


……相楽さんは、ちゃんとお昼食べてるのかな……。

食べててもどうせ、カップ麺とかチャージ型ゼリー飲料とかなんだろうな。



この美味しさを分かち合えたらいいのに……。

ていうか、食べてもらいたい。


急に思い立って、戸棚にあった小皿にまだお箸を付けていない角煮を取り分けた。



ラップを掛けると、無意識に口元が緩む。


鬱陶しがられるかもしれないけど、食べてくれたらいいな。


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