魅惑の絶対君主
すると、ジャケットを脱ぐ相楽さんの動きがぴたりと止まった。
もう夏手前なのに、スーツはジャケットまで羽織らなきゃいけないなんて社会人は大変だ。
ていうか、中の黒いシャツ……相楽さんの白い肌によく似合ってるなあ。
なんて一瞬余計なことを考えて、再度相手を見上げる。
「俺用にわざわざ?」
「はい。……ご迷惑、でしたか」
「そうだね。全部自分で食べてもらわないと困る」
「……、そうですよね」
相楽さんの性格上、なんとなく予想はしてたけど、断られるとやっぱり少しショック……。
「──って、俺の立場上そう答えるべきなんだろうけど。食べるよ」
「え?」