好きを君に。
「じゃあ、告白しとけば?」
さりげなく放たれた爆弾に、は!?と思わず声が漏れた。
千香はそんなあたしを気にすることもない。
「しなきゃ引きずるんだから、振られるにしても付き合うにしてもしとけば?」
「簡単に言わないでよ。振られるに決まってるし」
「そんなんわかんないでしょ」
「好きな子に対してふつう、あんな態度とらないでしょ」
「あんただって好きな人にとる態度にみえないでしょ」
冷静な言葉に、うっ。と言葉につまる。
やっぱり人から見ても好きな人に対する態度ではないんだな。
喜ぶべきなのか、反省するべきなのか…。
「第一、気持ちも言わずに卒業して未練残らないの?」
「そりゃあ、さあ」
残るって思うけど。
思うけど、さ、告白する勇気なんて出る気がしないよ……。
「ウジウジするの目に見えてるんだから、当たって砕けろ」
「砕けろって…」
簡単にいわないでほしい。
しり込みするあたしに、千香はぽんと肩をたたく。
「大丈夫。砕けても、直るしかないんだから安心しな」
つまり。
失恋しちゃっても、立ち直るしかないんだから大丈夫だと。
砕けても、直らないわけじゃないから。とそういうわけね。
そんなんわかってても怖いし。
藤崎の気持ち、知りたいけど知りたくない。
「決めるのは遥だし、好きにしたらいいけど」
「とりあえず今は受験のことだけ、考える……」
「受験の前に告白するバカがどこにいんの」
受験の後に決まってるでしょ、と冷めた目をする千香。
いるかもしれないじゃん…。
「受験前に告白して振られたら、遥はメンタルやられて受験どころじゃなくなるよ」
「そんなのわかってるよ」
どちらの結果にしろ、告白するまでの時点でメンタルはやられまくると思う。
あたしは自分がそんなに器用な人間ではないって知ってる。