好きを君に。
合格祈願
その連絡は、青天の霹靂(最近覚えたことわざ)だった。
”藤崎だけど日曜、少しだけ時間ある?”
一言だけ、藤崎からそう送られてきた。
びっくりしすぎてスマホを落とした。
そして震えながらスマホを拾って、未読のままになっているそのメッセージを何度も何度もみる。
何度読んでも、藤崎だけど日曜、少しだけ時間ある? と書かれている。
今まで個人的なやり取りは一度もないので、藤崎と名乗ってるのだろうけど当然どれが藤崎かなんてチェックしているので名乗らなくても分かっている。
これは、何?
まさか遊びの誘い?
いや、でも受験直前の日曜にまさかそんなわけないよね。
さすがに呑気すぎる。
なんて返そうか考えていると、追撃で藤崎から連絡が来る。
”合格祈願、行こうぜ”
ーーーー!?
未読のままになっているスマホの画面から目を離すことができない。
ちょっと待って。
え? 合格祈願?
あたしと二人で??
なんで?
なんでわざわざ??
現実に理解が追いつかなくて、?がいっぱい頭に浮かぶ。
だってこんな嘘みたいなこと、起こると思わないじゃん。
落ち着こうと思って、空気をいっぱい吸い込んで、大きく吐く。
それでもなかなか落ち着かなくて、未読になったままの画面をしばらく凝視していた。
すぐ返したら、こいつめっちゃ乗り気じゃんって思われるかな?
気持ち、気付かれたりする…?
もちろん今まで連絡したことがないのだから、そんなこと分かりようもないのだけど、そんな考えも及ばないくらい動揺していた。
一度置いておこうとスマホの画面を切って机に向かったけれど、当然勉強なんて手につくはずがない。
……こんな気になるんだったら早く返した方がスッキリするよね、うん!!
あたしは未読になっているメッセージを震えながら押して、その画面を開いた。
「な、なんて返そう…」
迷いながら何度も何度も推敲して、「合格祈願? 二人で?」とメッセージを送った。