好きを君に。
「はあー」
送信を押して、大きな息が漏れる。
たったこれだけのメッセージを送るのに、すごく体力を使った気がする。
切り替えて勉強!と思ったけれど、やっぱりスマホが気になってチラチラみてしまう。
ーー集中できない。
数学の問題に切りかえて、ペンをとると、新着メッセージのポップアップが表示されて、自分でも驚く速さでスマホをとった。
「……なんだ。公式の通知か……」
こんな時に紛らわしいものを送ってこないで欲しい。
そう思っていると、追加でメッセージ。
”そう!合格祈願! きりと如月誘って4人で!!”
「2人じゃないのか…」
藤崎からのメッセージを読んで、思わず声が漏れる。
ホッとしたような残念なような……。
それにしてもなんでこの4人?
遊んだこともないような4人で合格祈願なんて変な感じだ。
でも。
せっかくの藤崎との会える機会を逃したくない。
行きたいけど……問題は、千香だ。
ドライでクールな千香のことだから、きっと誘っても”受験直前の日曜に馬鹿じゃないの”と一蹴される気しかしない。
メッセージだと確実に却下されそうなので、電話をすることにした。
数コール鳴った後、『何』と短く聞く千香の声が聞こえた。
「あ、千香? ごめんね。ちょっといい?」
『手短にね』
「あ、あの、日曜日、合格祈願に行かない?」
『合格祈願?』
「う、うん。藤崎と、桐野と」
『なんで突然?』
「藤崎に誘われて…」
そういったあたしに、千香はふうん。と無感情な声。
『あんたら、馬鹿なの?』
そして案の定、冷たい言葉が返ってくる。
『なんで受験直前の日曜に行くわけ? 合格祈願なんて正月とかにやってるでしょ』
「あ、あたしはしてなくて」
『来週の水曜にはテストなのに呑気なもんね、遥』
「い、息抜きも大事でしょ?」
『藤崎に誘われてどうしても行きたいだけでしょ』
うっ。
的確に図星をさしてくるあたりさすがだ。