好きを君に。



試験は、正直結構出来たと思う。


社会の歴史も直近で勉強していたところがでてたし、漢字も全部かけた。
数学は計算ミスしてなければ、基礎問題は大丈夫なはず。
理科と英語は……ちょっと自信ないけど。

半分くらい出来たら受かるはずだから、それくらいは大丈夫な気がする。


帰りは受験教室ごとで指示される感じで、あたしが帰る頃には千香のクラスにはだれもいなかった。
これはたぶん、千香は先に帰ってるな。
もしバス停で会えたら一緒に帰ろう。

「高坂」

教室から出て下駄箱に歩き出したあたしに、桐野が声をかけてくれた。

「あ、桐野、おつかれー」
「おつかれ。途中まで一緒に帰っていい?」
「いいよ。桐野もバス?」
「おう」
あたしたちはそのまま並んで歩き出す。
「如月は帰っちゃった?」
「たぶん」

一緒に帰ろうと約束してたわけじゃないし、そのまま帰っている気がする。

「桐野はだれかと待ち合わせないの?」
「タイミング合えば帰ったりはあるだろうけど、わざわざ約束はしてないな」
「そうなんだ」
「仲いいやつらはみんな違う教室だったしなー」
「あたしもだよ」
そんな話をしながらバス停に着いたけど、長蛇の列だった。

「めっちゃ並んでるね」
「ほんとだな。高坂って徒歩でどれくらい?」
「三十分くらいかな」
「俺と変わらないな。それだったら歩く?」
「あー……そうだね」
たしかにバスを待つ時間と乗っている時間を合わせたら徒歩でも着く時間は変わらないかもしれない。
それなら徒歩で帰ってもいいか。
「徒歩で帰ろっか」
あたしは桐野の提案にのることにした。

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