好きを君に。
帰り道は卒業式の話とか、昨日のテストの自己採点の話とかをした。
桐野も千香もあたしよりやっぱり点数は高くて、頭いいんだなあて思った。
あたしもなんとか半分くらいはとれていたけど。

「じゃあ私、あっちだから」
いつもの分かれ道で千香がそういって、あたしはすがるような目を向けたけど無視をされた。

たしかに千香にとったらどうしろと?ということなんだろうけどさ!!

「……遥、私の家に漫画取りに来るんじゃなかったっけ?」
「え……あ、うん! そうそう!」
千香の神の一声にあたしはすぐに頷く。
「そうなんだ。じゃあまた明日な」
「うん。また明日」
桐野とバイバイと手を振りながら分かれた。

千香の家の方面へ歩いてしばらくして、ふうーとあたしは息を吐く。

「ありがとう、千香……」
「あんな助けてみたいな顔されたらね」

無視したとか思ってごめん。

「なに? 桐野に告白でもされたの?」
あっさりと図星をさされて、うっ。とつまる。
「あ、やっぱりそうなんだ」

何も答えてないのに答えを出さないで欲しい。

「……千香、知ってた?」
「……まあ、本人から聞いたわけじゃないけど」
「藤崎が、協力、してるのも?」
「うん。神社のとき、藤崎、口滑らしたから」
あっさりと認めた千香にやっぱりかという気持ちになる。
「だから、あんなこと……」
「気持ち抑えて協力してる感じでもなかったしね。だから、無理に卒業だからって告白しなくてもいいのかと思って」
「……そう、だよね」
淡々といった千香に、思わず目を伏せてしまう。
< 45 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop