好きを君に。
*
翌日も桐野は一緒に帰ろうといってきた。
藤崎は今日も帰ったらしい。
……もしかして、これも協力してるのかな?と思ったけど悲しくなるから考えないことにした。
さすがに二日連続で千香の家に寄るなんて言い訳もできなくて、最後は二人になった。
「高校も部活続けるの?」
「そうだなー。サッカー部に入る予定。高坂は?」
「あたしはまだわかんないなあ。バイトもいいなあって思ったり」
「バイト? 高坂が?」
くすくす笑う桐野にムッとする。
「なにその反応!」
「ごめんごめん。想像つかなくてさ」
「全然悪いと思ってないでしょ」
「バレた?」
「ひど!」
あたしが怒っても桐野は楽しそうに笑うだけだった。
なんか扱いが藤崎と同じになってきてない!?
「なんのバイトがしたいとかあるの?」
「まだぜんぜんわかんないけど、カフェとか?」
「じゃあ俺、接客されにいこうかな」
「やだよ」
そんなの恥ずかしすぎる。
会話が途切れて、あたしはもうすぐ桐野との分かれ道がくるなと思って少し安堵する。
そんな空気を察したのか、「……俺と二人なの嫌?」と桐野に問いかけられる。
「え、そんなことないよ!」
察しがよすぎてびっくりして、あたしは慌てていった。
気まずいだけで嫌なわけではない。
「よかった」
心底ほっとしたような顔をする桐野の想いがあたしに刺さる。
「悠哉と話してないの、俺のせい?」
「え、あ、ちがうよ。話すタイミングもなかったし」
藤崎とは、今日も話さなかった。
目線を合わせないようにしてたのもあるかもしれないけど。
「藤崎、受験いけそうっていってた……?」
「あー、微妙っていってたよ。本番弱いとこあるからな」
「たしかに、サッカーの試合の時もそんなんだったかも」
「高坂、見に来てたね」
「知ってたの?」
「そりゃああの頃には好きだったしね」
さらりといわれて、言葉につまる。
「……反応に、困る」
「困らせてるから」
にっこり笑った桐野の顔は意地悪だ。
「桐野って案外いじめっ子?」
「そんなことないよ。高坂の反応が可愛くてつい」
「……っ」
絶対にわざとだ…。
「桐野は、なんで告白、してくれたの?」
嬉しそうにあたしをみる桐野をみて、あたしは考えていた疑問がつい口に出てしまった。
桐野は驚いたように目を見張る。
「あ、ご、ごめん急に」
たしかに突然すぎる質問だったのでごまかすように笑ったが、桐野の切れ長な瞳があたしをまっすぐにみつめていた。
「俺を見てほしかったから」
謝ったあたしを気にもせず、はっきりと桐野はそういった。
「手遅れになる前に、俺を見てほしかったからだよ。俺の気持ち、ちゃんと自分の口で伝えたかった」
手遅れになる前に…?
きょとんとしたあたしに桐野はふっと息が抜けるように笑った。
「別に悠哉の代わりでもいいからさ」
「っっ! そんなこと、できないよ……」
「そうだよな。高坂はそうだって、わかってるよ」
そんなことを話していると、いつもの分かれ道についてしまった。
「じゃあ、また来週」
「ああ、じゃあな」
桐野とバイバイをして、家までの道を歩き出す。
知らず知らずにあたしはどっと息を吐いていた。
翌日も桐野は一緒に帰ろうといってきた。
藤崎は今日も帰ったらしい。
……もしかして、これも協力してるのかな?と思ったけど悲しくなるから考えないことにした。
さすがに二日連続で千香の家に寄るなんて言い訳もできなくて、最後は二人になった。
「高校も部活続けるの?」
「そうだなー。サッカー部に入る予定。高坂は?」
「あたしはまだわかんないなあ。バイトもいいなあって思ったり」
「バイト? 高坂が?」
くすくす笑う桐野にムッとする。
「なにその反応!」
「ごめんごめん。想像つかなくてさ」
「全然悪いと思ってないでしょ」
「バレた?」
「ひど!」
あたしが怒っても桐野は楽しそうに笑うだけだった。
なんか扱いが藤崎と同じになってきてない!?
「なんのバイトがしたいとかあるの?」
「まだぜんぜんわかんないけど、カフェとか?」
「じゃあ俺、接客されにいこうかな」
「やだよ」
そんなの恥ずかしすぎる。
会話が途切れて、あたしはもうすぐ桐野との分かれ道がくるなと思って少し安堵する。
そんな空気を察したのか、「……俺と二人なの嫌?」と桐野に問いかけられる。
「え、そんなことないよ!」
察しがよすぎてびっくりして、あたしは慌てていった。
気まずいだけで嫌なわけではない。
「よかった」
心底ほっとしたような顔をする桐野の想いがあたしに刺さる。
「悠哉と話してないの、俺のせい?」
「え、あ、ちがうよ。話すタイミングもなかったし」
藤崎とは、今日も話さなかった。
目線を合わせないようにしてたのもあるかもしれないけど。
「藤崎、受験いけそうっていってた……?」
「あー、微妙っていってたよ。本番弱いとこあるからな」
「たしかに、サッカーの試合の時もそんなんだったかも」
「高坂、見に来てたね」
「知ってたの?」
「そりゃああの頃には好きだったしね」
さらりといわれて、言葉につまる。
「……反応に、困る」
「困らせてるから」
にっこり笑った桐野の顔は意地悪だ。
「桐野って案外いじめっ子?」
「そんなことないよ。高坂の反応が可愛くてつい」
「……っ」
絶対にわざとだ…。
「桐野は、なんで告白、してくれたの?」
嬉しそうにあたしをみる桐野をみて、あたしは考えていた疑問がつい口に出てしまった。
桐野は驚いたように目を見張る。
「あ、ご、ごめん急に」
たしかに突然すぎる質問だったのでごまかすように笑ったが、桐野の切れ長な瞳があたしをまっすぐにみつめていた。
「俺を見てほしかったから」
謝ったあたしを気にもせず、はっきりと桐野はそういった。
「手遅れになる前に、俺を見てほしかったからだよ。俺の気持ち、ちゃんと自分の口で伝えたかった」
手遅れになる前に…?
きょとんとしたあたしに桐野はふっと息が抜けるように笑った。
「別に悠哉の代わりでもいいからさ」
「っっ! そんなこと、できないよ……」
「そうだよな。高坂はそうだって、わかってるよ」
そんなことを話していると、いつもの分かれ道についてしまった。
「じゃあ、また来週」
「ああ、じゃあな」
桐野とバイバイをして、家までの道を歩き出す。
知らず知らずにあたしはどっと息を吐いていた。