緒臣くんのキケンな誘惑。




スマホの画面をタップして時間を見ると、いつも家出る時間よりも十五分ぐらい早かった。

……うーん、もう家出よっかなあ。
多分今家出れば音寧と愛海と同じぐらいに学校着くと思う。


そう思って鞄を持つと、お母さんが私を見て声をかけてきて。


「え、もう行くの?」

「うん。暇だから」

「暇だから学校行くなんて……紫夕頭でも打ったの?」

「失礼ね!!!」


お母さんが目をまん丸にしてそう言ってきて、余計なことを……!!と心の中で思う。


「恋でもしたのかしら……張り切ってるわね」

「はい!?違うから!!」

「なによ必死になっちゃって。まさか図星?私冗談で言ったつもりなんだけど……」

「うるさい!行ってきます!!」


変なこと言いだすお母さんに驚いて思わず焦って必死に否定してしまう。

そんな私の様子を見たお母さんは、嘘でしょ?とでも言うような驚いた顔で私を見てきた。




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