緒臣くんのキケンな誘惑。



…この距離からでもわかる。
思わず、じーっと見つめてしまう。

これだけたくさんの可愛い女の子達に囲まれても、無表情のまま動じていない。
どこかミステリアスな雰囲気を放っていた。


……っ、あれ?

目を離すことが出来ずに横目で彼を見ながら歩いていると。
一瞬だけ、こっちに瞳が向いた気がした。

それに思わずドキッとしてすぐに視線を逸らす。

目合った……?
気のせいかもしれないけど、明らかにこっち側を見たのはわかる。

バクバクと焦ったように鳴る心臓を落ち着かせながら人混みを通り抜けて玄関に向かって。

人が少なくなったのをいい事に、大きく息をついた。


……うちの学校にあそこまでの美男子いたんだな。
イケメンというより美男子の方が似合う。遠くから見たけど、吸い込まれるような綺麗な瞳をしていた。

ボーッとしながら靴を履き替える。

外に出て風に当たった瞬間、ハッとして現実に戻される。
私ったら、見惚れすぎ!!




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