緒臣くんのキケンな誘惑。
うーん、そうなんだけど……。
いつも通り可愛い千夏ちゃんは、髪を耳にかけながらそう言った。
「紫夕に話しかけるのも苦労するのよ。私まだ緒臣くんに信用されてないだろうし」
「え、そうなの?」
「そうよ。ほんと、緒臣くん紫夕にだけ態度が違うんだから」
「……っ」
呆れたようにそう言った千夏ちゃんの言葉に、昨日の緒臣くんの態度を思い出してボンッと赤面してしまう。
〜〜っ、思い出すな私……っ!!!
いつも以上に甘すぎた昨日の緒臣くんが、ずっと頭から離れない。
「……わかりやす」
「…っ!!!」
すると、千夏ちゃんが私の顔を見てボソッと呟いた。
言わないで……っ!!!
恥ずかしくて顔を隠しながら、チラチラと周りを見る。
……あれ?やっぱり。
「…みんなどうしちゃったの?」
「え?」
「今日私全く陰口言われてなくて……」
「…ああ」