緒臣くんのキケンな誘惑。
まって……めっちゃいい人……?
緒臣くん以外の男の人と話すことないから、少しぎごちなくなってしまう。
ダンボールを開けて中の教材を取り出す先輩を見て、ハッとして私もダンボールに手を伸ばす。
「…ねぇ、君あれでしょ?天沢緒臣と噂になってる子」
「……っ、え!?」
「やっぱり?最近有名だし君……名前なんだっけ?」
「あ……音葉紫夕です」
「あーそうそう、紫夕だ」
作業しながら私の名前を呼び捨てで呼んでくる先輩に、頭の中はパニック。
初手呼び捨て……?!この人絶対距離近い……!!
……というか、私名前まで広まってるの……!?
私の名前知ってるかのような言い方だよね!?
「…あ、あの、私って名前まで知られてるんでしょうか……」
「んー?いや、そんなことないと思うけど」
「え?じゃあなんで……」
「あー……安堂千夏って知ってる?」
「千夏ちゃん……?」