緒臣くんのキケンな誘惑。
「あ……ありがとうございます」
そう言ってさりげなく私が開けてたダンボールを取って、交換してくれて。
なにこの人……めっちゃ優しいいい人だ……。
なんて思いながら私は紫月先輩が開けた教材をまとめた。
「にしても、紫夕すごいな。千夏ですら無理だった天沢相手に。なにしたん?」
「いや、特に何もしてなくて……私も不思議なんです」
「へぇ〜そういうもんなのか。まあ、千夏には悪いけど俺からしたらありがたいわ〜」
「……紫月先輩は、千夏ちゃんが好きなんですか?」
「…ふっ、そう見える?」
そう話す紫月先輩の表情とかを見て、そう聞いてみる。
そんな私に笑って答えた紫月先輩の瞳は少し切なく揺れていた。
「……少なくとも私にはそう見えました」
「…紫夕は人の感情を読むのが上手いんだねー?」
「え…っ!?いや、でも私、緒臣くんは……、あ」
「へぇ……うんうん、天沢は読めないんだ?」
「……心の声が漏れました拾わないでください」