緒臣くんのキケンな誘惑。



なんだか楽しそうに笑う紫月先輩に、うっと言葉に詰まってしまう。

なにうっかり口滑らしてるの私……!!
でもなんかこの人打ち解けやすくて……!!

そんな私を見て笑った紫月先輩は、作業をしながら話を続けて。


「俺こう見えても超一途だからさ、ずっと片思いしてんだよ。何十年も」

「…千夏ちゃんは知らないんですか?」

「そりゃあね。俺とは幼なじみだから、家族みたいなもんだとでも思ってるんじゃない?」


そう言った紫月先輩の声色と表情は少し切なげで。
…千夏ちゃんは緒臣くんが好きだったから余計……。

なんて思うと私まで胸が締め付けられた。


「よし、終わったね」

「え…?あ、ほんとだ……」


ボーッと作業をしていると、そんな声がして。
ほんとだ……もうまとめ終わってる。

やっぱり二人だと早いな……。



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