緒臣くんのキケンな誘惑。




「よーし、じゃあ帰ろうか。大丈夫?ここは男として送ろうか。女の子一人で帰らせるのもね」

「あ、大丈夫です……!気にしないで下さい」

「…そう?ならいいけど」


紫月先輩の提案に、さすがにそれは……!と思い断る。
申し訳ない……ここまで付き合わせてしまったのに。


「…あの、ありがとうございました…!」

「いーえ」

「あと私、紫月先輩のこと応援してます」

「……ありがとう。じゃあ俺そろそろ本気で頑張っちゃおーかな」


私の言葉に笑った紫月先輩は、じゃあねと言って去ってしまった。

紫月先輩の想いが千夏ちゃん届きますように……!!

なんて強く願って、私は鞄を取りに行こうと教室まで歩き出す。


……でも私、なんでいつもより男の人に慣れてたんだろう?
慣れてたわけじゃないけど、前に比べると全然平気だった。

というより……緒臣くんといるときだけ、普通とは違うムズムズさがあるような。




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