緒臣くんのキケンな誘惑。
話を変な方向に持ってこうとする緒臣くんに、焦ってそう言う。
すると緒臣くんは笑って。
「いいよ触って」
「っ、え」
「俺が起きてる時にしてほしいな」
「…っ、わっ、サラサラ……」
私の手を緒臣くんは自分の髪に移動させて。
初めて触った緒臣くんの髪は、やっぱりサラサラで思わず口にしてしまった。
「…っ、あ、ねえ緒臣くん、もしかして待っててくれたの?」
「うん待ってた」
ハッとして緒臣くんにそう聞くと、当たり前かのように即答してきて驚く。
「何時になるかわからなかったのに?」
「うん、いつまでも待てるよ」
「っ……ありがとう」
「俺が紫夕と帰りたいだけだよ」
そう言う緒臣くんに、ドキッと心臓が高鳴って照れてしまう。
照れ隠しで私は立ち上がると、さっきとは逆の立ち位置になって私が緒臣くんを見下ろすみたいになる。