緒臣くんのキケンな誘惑。
「あっ!ほんとに紫夕だ」
最初に私に挨拶した女の子───千夏ちゃんの隣にいた人にも声をかけられた。
え……紫月先輩……っ!?
「おはよう千夏ちゃん……!と、紫月先輩」
「ちょっとー、俺の扱い雑になった?」
千夏ちゃんと紫月先輩が幼なじみなのはこないだ聞いたけど、一緒にいるところは初めて見たな。
紫月先輩に会うのはあの日以来だから、久しぶりに感じてしまう。
「…紫月とほんとに知り合いになったのね」
「だから言ったじゃん?千夏全然信じてくれねえからさあ」
「紫月が日頃から嘘言うからよ」
「えー、俺千夏には嘘言わないよ?」
「それが嘘」
千夏ちゃんと紫月先輩の会話を聞いて、ポカンとしてしまう。
千夏ちゃんの遠慮ない砕けた話し方と、紫月先輩の千夏ちゃんを見る優しい表情。
なにこれ……っ。
「尊……っ」
「「は?」」
「あ……っ」
心の声漏れてた……っ!!