緒臣くんのキケンな誘惑。
何してるの私何してるの……っ!?
こんなの…っ、ほんとに嫉妬みたいじゃん……っ!
緒臣くんが女嫌いだから触らせないようにっていう理由もあるけど……それだけじゃないじゃん……!
周りにいた女子の私を見る驚いたような目も、思い出しただけで冷や汗が止まらない。
ああ、なんてことを……!!
「…紫夕、まって!」
「…っ!?」
走ってそのまま階段に向かうと、後ろから緒臣くんの追いかけてくる足音と声が聞こえてパッと後ろを向いてしまう。
お、緒臣くん……!?
まさか追われてるとは思わなくて、どうしようどうしようと焦る。
だって私、さっきのこと聞かれても何も答えられないもん……!
なんて思いながら、足をとめずに階段の方に曲がると。
────────ドンッ!
「きゃ…!?」
「うわ…っ!」
と、目の前にいた人に勢いよくぶつかってしまった。
倒れ込むかと思いきや、目の前の人は私のことをガッチリと掴んでそのまま胸にダイブしてしまう。