緒臣くんのキケンな誘惑。
ぐらりと視界が揺れて、目の前が真っ暗になる直前。
……あれ、人……?
人影が目の前で焦ったように揺れたのが見えた。
「…──ゆ……っ!」
なに……?なにか、言って……。
力が尽きて意識が飛ぶ寸前、身体が温かいなにかに包まれたような気がした。
────────────────
…っう、なんだろう……温かくて、フワフワしてる。
真っ暗だった視界に眩しい光が差し込み、ゆっくりと目を開ける。
「ん……」
……天井?真っ白の……。
布団がかけられて……もしかしてベッドで寝てたの?
ボーッとしたまま視線だけを横に動かすと。
「あ、起きた?」
「……っ」
私の顔を覗き込んでいる、ものすごく美形な男の人がいた。
…っ、うわぁ……なにこれ、夢?
だって、この人すっごく……
「綺麗……」
声に出すつもりはなかった。
いつの間にか心の声が口に出てしまっていたようで。