緒臣くんのキケンな誘惑。
「先輩は、千夏ちゃんが好きなの……っ!!」
「……え」
「千夏ちゃんと幼なじみなんだよ!だからそんな心配いらないよ……!」
「…」
紫月先輩ごめんなさい……!!言うしかなかったんです……!!
そう謝りながら緒臣くんの服を掴んで訴えると、顔を上げてピタッと固まった。
すると、段々緒臣くんの顔がほんのり赤く染ってきていて私もピタッと固まってしまう。
「……そう、なんだ」
「う、ん……っ!」
「…よかった」
「よ、よかった……?」
少し恥ずかしそうに口元を隠す緒臣くんに、ほっとする。
いつもの緒臣くんに戻ってきた……!!
そう思っていると、緒臣くんは大きく息を吐きながらさっきより強く私をギュッと抱きしめてきて。
……っ!?
「紛らわしい」
「ご、ごめんね…!でも、あれは紫月先輩の言い方が悪いよ……!!」
「……うん」
私の言葉に歯切れ悪く返事する緒臣くん。