緒臣くんのキケンな誘惑。



すると、私からパッと身体を離して向き合う形になる。


「…ねぇ」

「な、なに……?」

「なんで逃げたの」

「………っ、あ」


緒臣くんの言葉に一瞬疑問を抱いたが。
その前の出来事を思い出して、ハッとしてしまった。

そ、そういえば……私、緒臣くんから逃げてたんだ……!!


「えっと……緒臣くん…?」

「答えなきゃ教室戻らせない」

「えぇ……っ!!」


なにそれ……!?
どこか妖しげのある瞳に捕らえられて逸らせない。


「えっと…身体が勝手に……」

「……」

「ぅ、あ、あの……っ、緒臣くん女の子に触られるの無理だし……」

「……」

「…っ、触らないでって思っちゃったの……!!」

「…うん、満足」


なんでそんな圧かけてくるの……!!
緒臣くんのそんな真っ直ぐな目で見つめられたら……全てを見透かされてるみたいで。
…多分、全部分かってた上で聞いてるんだと思うけど。

また、私のことからかって……!!



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