緒臣くんのキケンな誘惑。
耳まで熱くなる私に、緒臣くんはゾクッとする瞳で笑って。
な、なんか……ここにいると危険な気がする……っ。
「も、もう戻ろうよ……!」
「なんで?」
「…っ」
「あ、目逸らした。逃げようとしてるでしょ」
「…っ、いや、」
「バレバレだよ。いけないんだ〜」
口角を上げて楽しむ緒臣くんに、ドキドキと甘さで苦しくなる。
声にならない叫びが、私の中で暴れ回っていて。
後ずさる私に、遠慮なく詰め寄ってくる緒臣くんは私を逃げられないように捕らえようとしているみたい。
ど、どうすれば……っ!
と思っていると、緒臣くんの左手が私の腰に回って引き寄せられて。
そしてもう片方の手が、私の頬を包み込んで目線を合わせられた。
「…っ、ひぇ」
「今回は紫夕が悪いよね?俺の知らない間に他の男と仲良くするなんて」
「お、緒臣く……っ!」
「だから、イタズラしちゃお」
そう言って色気を含んだ意地悪な表情に、私は敵うはずもなかった。