緒臣くんのキケンな誘惑。




ボソッと呟いた緒臣くんが、どこか小さく見えて胸が痛む。

女の子達に囲まれてるから……だよね。


「緒臣くんが大丈夫なのは、私だけなんだよね?」

「うん」

「…そっか」


なんだろう……なんでこんなこと聞いたんだろう。

でも、でも……緒臣くんのその返事がどうしようもなく嬉しく感じて。
ギュッと胸が掴まれるような感覚になる。


これはなに……?この気持ちは……。


「……戻る?」

「うん、そうだね」

「嫌だー……」

「ふふ…っ」


自分から戻ろうと言ったのに、嫌そうな顔をする緒臣くんに笑ってしまう。

でも、渋々離れる緒臣くんの温もりが消えた途端、寂しく感じる私も……変なのかな。
ずっとこのままでいたい、なんて。
このドキドキが心地良いなんて。

最近の私は、なんか変だ。
でもその答えがなんなのかは、まだはっきりしない。


「行こう紫夕」

「っ、うん……!」



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