緒臣くんのキケンな誘惑。
艶があり透明感のある黒髪。
吸い込まれるような漆黒の瞳に長いまつ毛。
ぱっちりと、でも切れ長な二重の目。
高く通った鼻筋に、厚すぎず薄すぎない血色のいい唇。
毛穴ひとつない陶器肌。
透明感がありすぎて消えてしまいそう……。
こんなにも綺麗な人を間近で見れるなんて、やっぱり夢なのかな。
数秒間見つめ合う。
男の人は私の発した一言目にパチパチと驚いたように瞬きをすると。
どこか嬉しそうな優しい瞳をしてクスクスを笑った。
「ふっ、そう?ありがとう」
そんな姿すらも眩しい。
……やっぱり夢かあ……それ以外ないよね。
こんなにも心が浄化される夢なんてあるの?
天使に見えるよ。
そう思いながら、ふふっと私も笑ってしまう。
なーんて幸せな夢なんだろ……う!?
「…っえ、あの……っ」
「熱はないみたいだね。体調は大丈夫?」
「え…っ、体調?」
呑気にボーっとしながら心の中で考えていると。
突然、距離が縮まり男の人の右手が私の額に触れた。