緒臣くんのキケンな誘惑。
そんな私の心情を知らない緒臣くんは、サラッと私の手を取って歩き出して。
さり気ない緒臣くんにバクバクと心臓を大きく鳴らしながら、私も平然を装って歩き出した。
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「あ、紫夕!!おかえり……!!」
「ただいま」
教室に戻ると真っ先に駆けつけてきた三人。
どこかソワソワしていたのか、落ち着かない様子だった。
「もうびっくりしたよ!紫夕急に女子達の間に割り込むから!」
「ご、ごめん……!!」
「天沢くん追いかけてったけど何があったの?」
「あー……」
いろいろあったんだよ……と目を逸らすと、余計怪しそうに私をじっと見つめてきた。
「あ、あのさ…私……」
「うん?」
「…嫉妬、してたのかも……」
「…!ほらぁやっぱり……!?」
この感情について相談できるのはこの三人しかいないと思って小さい声でそう言ってみると、三人はパッと顔を明るくさせた。