緒臣くんのキケンな誘惑。




すると、一瞬固まった天沢……じゃなくて緒臣くんはすぐに満足そうな顔をして笑った。


やっぱり距離感おかしいよねこの人……っ。
さすがモテるだけある。あれだけ女の子が周りに集まってきてたら距離感もおかしくなるわけだ。

慣れてない私には刺激が強すぎる……と思いながら階段を上って二年の階まで来る。


「あ、あの……二組まで送ってくれなくても大丈夫ですよ……?」

「…敬語だめ」

「っ、あ、気をつける、ね……」


焦ったように緒臣くんに声をかけると、緒臣くんはムッとした様な顔をして。
慌ててタメ語に変える。


この場所からは、緒臣くんのクラスよりも奥に私のクラスがある。
さっき私のクラスまで送るって言ってたってことは二組まで来てから戻るということ。

そこまで遠くもないし、一人でも……と思い聞いてみる。


「また倒れたらどうするの」

「えっ、でももう大丈夫だよ……?」

「…俺が送りたいだけって言ってもだめ?」

「な……っ」




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