緒臣くんのキケンな誘惑。
「ああ………もしかして気になってくれてた?」
「うん……何言おうとしてたのかなって」
「嬉しいな、俺のこと考えてくれてたんだ」
「な、なんでそうなるの……っ!!」
緒臣くんってほんとに……!!そんなに私をからかって楽しいんですか……!!
たしかに気になってたけど……!
顔の熱を冷ますようにパタパタとしていると。
緒臣くんはなにか考え込んでいる様子だった。
「あ、言いづらいなら別に……」
「じゃあ、また今度教えてあげる」
「…え」
ちょうど下駄箱についてピタッと二人で足を止めると、緒臣くんは私を見てそう言った。
ま、また今度……?まさかのお預け……っ!?
驚いて目を見開いた私に、緒臣くんはニコッと笑って。
「周りに人いるから聞こえちゃうでしょ?」
「あ……」
「言いづらいわけじゃないよ。人に言ってないだけで、隠してるわけじゃないし」
「…なのに、私に話してくれるの?」
「紫夕は特別」
「……っ!」