緒臣くんのキケンな誘惑。




緒臣くん、という名前を口に出しただけなのにあまりにもうるさい声が返ってきて慌てる。

周りに聞こえちゃうでしょーっ!!!


「なになに?なにかあった?!」

「下駄箱で会って一緒に来たんだよね」

「きゃ〜っ朝からお熱いこと!!!」

「静かにして!!周りに誤解されるでしょ……!」


いちいち騒ぐ三人に、しーっと口に手を当てる。

私の敵増えちゃうから落ち着いて……!


「真剣な話するよ?いい?」

「なになに」

「私女子達に顔覚えられたみたい。人生終わったかも」

「詰んだね」

「だよねやっぱりそうだよね……っ!!」


詰んでるよねわかってるよ……!

頭を抱えながら、くっそ〜〜っ!と唸る。
どうすればいいの……集団でいじめとかあったらさすがに怖いかも……。

ため息をつきながらそんなことを考えて冷や汗が出る。




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