緒臣くんのキケンな誘惑。

さっき……？
それって、女の子達のこと……？

そう言った緒臣くんの表情はどこか切なく感じた。


「…うーんと、そう言ってくれるのは嬉しいけど、私別に優しくないよ」

「紫夕が謝るべきじゃないのに謝ったでしょ」

「……それは、あの子に同情しちゃったの。優しさとは違うよ」


そう言っても、あまり納得していない表情をするから。
……じゃあ、緒臣くんが私に"女嫌い"という本音を言ってくれたように、私も……。


「……正直に言ってもいい？」

「うん」

「……ああいうのすっっっごく嫌！！！」

「……え？」


ふう、と深呼吸をしたあとに声を張ってそう言うと、緒臣くんは驚いたように目を見開いた。


「女の子って、ああいうところ汚いなって思う！！私が一人になった時に数人で文句言いに来るのタチ悪いよ！？」

「……」

「ほらね！別に私優しくない！だからそんな顔しないで」

「……紫夕」

「……でもね、あの子私のこと否定しなかったの。すっごく嫌だと思うのに私に対して悪口言わなかったんだ」