緒臣くんのキケンな誘惑。
本能




────────────────


「紫夕っ!!大丈夫……!?」

「さっき女子に囲まれてたって噂流れてて……!」


あの後、教室に戻ると焦ったように私の元に駆けつけた三人。
それに驚いて、ピタッと足を止める。


「ほんっとにびっくりしたんだから!!!」

「みんな……」


安心したように私の肩に手を置いた芹奈に、ジーンとする。
心配してくれたんだなあ……。

嬉しくてニコッと笑うと、三人ははあ?とでも言うような顔をした。


「全然大丈夫だよ!緒臣くんがね、助けてくれたの……!」

「…そっか、ならよかった……」

「へへっありがとう!」

「…なにニヤニヤしてんのよ紫夕のくせに……!!」

「ええ!?なにそれ……!?」


私のくせにってなに……!!ニヤニヤしてて悪かったね……!!

そんな私と芹奈の会話を笑いながら聞く音寧と、呆れている愛海に、どうしても口角が上がってしまう。




< 78 / 193 >

この作品をシェア

pagetop