緒臣くんのキケンな誘惑。
本能
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「紫夕っ!!大丈夫……!?」
「さっき女子に囲まれてたって噂流れてて……!」
あの後、教室に戻ると焦ったように私の元に駆けつけた三人。
それに驚いて、ピタッと足を止める。
「ほんっとにびっくりしたんだから!!!」
「みんな……」
安心したように私の肩に手を置いた芹奈に、ジーンとする。
心配してくれたんだなあ……。
嬉しくてニコッと笑うと、三人ははあ?とでも言うような顔をした。
「全然大丈夫だよ!緒臣くんがね、助けてくれたの……!」
「…そっか、ならよかった……」
「へへっありがとう!」
「…なにニヤニヤしてんのよ紫夕のくせに……!!」
「ええ!?なにそれ……!?」
私のくせにってなに……!!ニヤニヤしてて悪かったね……!!
そんな私と芹奈の会話を笑いながら聞く音寧と、呆れている愛海に、どうしても口角が上がってしまう。