緒臣くんのキケンな誘惑。
そう笑う私に、一瞬目を見開いた女の子は乾いた笑みをもらした。
「…あなた、バカなの?」
「え……っ!?バカ……!?」
「普通もっと怒るでしょ」
「うーん……そうかもね?」
「……バカなのね」
ば、バカ……!?二回も言った……っ!!!
どこかスッキリしたような顔をしている女の子に、頭にハテナが浮かぶ。
「…ねぇ、安堂(あんどう)さんと話してない?」
「ほんとだ。あ〜あ、安堂さんみたいな可愛い人だったら私達も納得出来たのに」
「ほんとにそう。まじで辛い」
そんな時、周りから聞こえてきた声に耳を傾けてしまう。
……これ、私のことだよね?
この人……安堂さんっていうの?結構有名人……?
目の前にいる綺麗な女の子を見て、確かに本当に可愛いと納得する。
そんな周りの会話が安堂さんにも聞こえたのか、はぁとため息を漏らした。