緒臣くんのキケンな誘惑。




「だって紫夕が一番恋愛に対して興味ないじゃん?」

「な…っ、興味ないわけないじゃん!恋したいし、彼氏欲しいなって思うよ……?で、でも……」

「でも?」

「…みんな知ってるでしょ!私が男の人との距離感掴めないこと……!」


わかって言ってるくせに……!
言わせないでよもう!!

ふん!と言い切ると、楽しそうにしながらハイハイと愛海が私の頭を撫でてきた。


そう、私は男の人との距離感が掴めない。
簡単に言うと慣れていないのだ。少しでも近づいただけで赤面してしまう。

小学生の時は平気だった。
でも中学生になってから男子の身長が伸び始めて声が低くなっていくのを見て全く違う男の人に見えて。
それから距離感がわからなくなってしまったのだ。


そしてそれを未だに克服できずにいる……。


「いつか克服できるといいね」

「……君たち楽しんでるよね」

「だって面白いもん。プリント渡されるだけでもガッチガチになる紫夕」

「う……っ」




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