もう誰にも恋なんてしないと誓った
2 クズを紹介したのは◆シンシア
とは言え、いつまでも見ているわけにもいかず、そろそろ声を掛ける事にした。
さすがに見なかったことにして、この場から立ち去る気にはならない。
何故なら今週末には夏休みは始まり、わたしはこの、目の前でキスをしているふたりを、領地に誘っていた。
7月にわたしの誕生日があって、そのパーティーで彼……キャメロン・グローバーとの婚約を発表する、と領地で予定されていたからだ。
家を巻き込んでの催しを中止にするのだから、先延ばしには出来ない。
後から誤魔化されないように、この場をこの目で見たと裏切者ふたりに知らせたい。
もはや過去形にしてもいい親友だったアイリス・マーフィーも当然パーティーには招待している。
騙されていることを今の今まで気付かなかった愚かなわたしは、一緒に避暑においでよ、とふたりに長逗留を勧めていて……
馬鹿としか言いようがない。
お互いしか見えていなくて、第三者の侵入にも気付かない脇の甘いふたりに呆れながら、わたしは午前中まで親友だった女の名前を呼んだ。
「アイリス・マーフィー様!」
「……!?」
背後から名前を呼ばれて、ふたりは揃って面白いくらいに飛び跳ねた。
「……シン、シンシア! あのねっ!」
突き飛ばすようにキャメロンから離れたアイリスが、はだけた夏制服のブラウスの胸元を掴んで慌てていた。
その動作は、キスにばかり目を取られていて見えていなかった行為を、中断させたことを意味していた。
さすがに見なかったことにして、この場から立ち去る気にはならない。
何故なら今週末には夏休みは始まり、わたしはこの、目の前でキスをしているふたりを、領地に誘っていた。
7月にわたしの誕生日があって、そのパーティーで彼……キャメロン・グローバーとの婚約を発表する、と領地で予定されていたからだ。
家を巻き込んでの催しを中止にするのだから、先延ばしには出来ない。
後から誤魔化されないように、この場をこの目で見たと裏切者ふたりに知らせたい。
もはや過去形にしてもいい親友だったアイリス・マーフィーも当然パーティーには招待している。
騙されていることを今の今まで気付かなかった愚かなわたしは、一緒に避暑においでよ、とふたりに長逗留を勧めていて……
馬鹿としか言いようがない。
お互いしか見えていなくて、第三者の侵入にも気付かない脇の甘いふたりに呆れながら、わたしは午前中まで親友だった女の名前を呼んだ。
「アイリス・マーフィー様!」
「……!?」
背後から名前を呼ばれて、ふたりは揃って面白いくらいに飛び跳ねた。
「……シン、シンシア! あのねっ!」
突き飛ばすようにキャメロンから離れたアイリスが、はだけた夏制服のブラウスの胸元を掴んで慌てていた。
その動作は、キスにばかり目を取られていて見えていなかった行為を、中断させたことを意味していた。