断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「すまないハナコ……わたしにはハナコの魔石カイロをあたためてやることができないんだ……」

 声を震わせる山田は、まるで絶望のフチに立ってるかのよう。魔石ひとつで大げさなやつ。

 ってか、魔力最強と(うた)われる山田にも苦手分野はあるんだな。魔力ヨワヨワな立場としては、ちょっと親しみ湧いちゃうかも。

 なんて思ってたら、マサトと健太がやけに納得してうんうん頷いてる。
 ていうか、君たちが共感すべきとこ、耳かき一杯分もないからね?

「シュン王子の魔力じゃ魔石がショートしちゃうもんな」
「下手すると粉々に砕けますしね」
「うむ、今後の課題は魔力の調整技術だな」

 って、理由はソレなんかいっ。

「魔石が渡せない代わりに、せめて部屋をもう少し暖めておこう」

 言いながら山田が暖炉に手をかざす。

(ってか、ファイヤぁ―――――っ!)

 いきなり炎が噴き出して、目の前を火の粉が飛び散った。
 ま、前髪、焦げるかと思ったじゃんっ。

「ハナコのために、このくらいのことしかできない自分が口惜しいな」
「おほほ、さすがシュン様。やっぱりわたくしなど、近寄るのも恐れ多いお方ですわ」
「何を言う。ハナコならばもっともっと、もっっっっっと、近寄っていいに決まっているだろう」

 だから、っ、が多いんだってばっ。
 いや、今は耐えるんだ華子。この雪山イベントが終わるころには、山田はユイナにメロメロになってるハズ。
 ってか、そのユイナはどこ行ったんだ?

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