断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ずびずびと鼻をすする山田の眼鏡のフチから、透明な液体がしたたり落ちてくる。げっ、さっき口に入ったのは、もしかしなくてもこいつの涙かっ。

(鼻水だったらマジコロス……!)

 肘で山田の顔を遠ざけながら、どうにかこうにか起きあがった。頭だけじゃなく背中とか腕とか、体中が痛いんですけど。

 きょろきょろと見回すと、なんだかロココ調の豪華な部屋の中にいた。
 猫脚(ねこあし)の長椅子に寝かされて、そこで山田にひざ枕をされていたみたいだ。

(そうだ、わたし長谷川ともみ合って階段から落ちたんだっけ……)

 打撲だけで助かった?
 ならこのくらいの痛みで済んでラッキーって言えるかも。

「あれ……未希、どうしてそんなカッコしてんの?」

 見たことない制服を着てる未希が驚いた顔して立っている。

 パフスリーブのフリルブラウスに品位いい長さのスカートと編み上げブーツ。
 髪にはアニメキャラみたいな大きなリボンなんかつけちゃって、海外の寄宿舎つきお嬢様学校に通う生徒みたい。

 あまりにも似合ってなくて思わずぷぷっと忍び笑いが漏れた。なにしろ未希は純和風な顔立ちで、日本人形みたいってよく言われてるし。

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