断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「ああ、ハナコの匂いだ」

 鼻を近づけて思いっきり吸い込むな。

「しゅ、シュン様、みなが見ておりますわ」
「もう少し堪能(たんのう)させてくれ。ハナコが足りなさすぎてもう限界だったのだ」

 わたしはお前の栄養源ではないっ。
 ってか、なんだか近衛兵たちまでニヤついてるように見えるんですけどっ。

 ここはもう世間話にシフトして、一秒でも早くお茶会を終わらせるしかない。

「今日はほんと良いお天気ですわね」
「きちんとこの日を占わせたからな」
「この日を占わせた……?」
「ああ、ハナコを呼ぶのだ。最もふさわしい吉日を、神官総出で占わせるのは当然のことだろう」

 当然ってなに!? わたしのためだけに国のお抱え神官動かすなんて、むしろ職権乱用でしかないんですけどっ。

「そ、それはそうと、シュン様がご健勝で何よりですわ」
「うむ。この夏は体力づくりと魔力制御の向上を目指そうと思ってな」
「さすがはシュン様。長期休暇の間も勉学に励まれるなんて王子の(かがみ)ですわね」
「わたしはこの前の雪山で思い知ったのだ。もっと切磋琢磨(せっさたくま)しなければ、ハナコを守ることなど到底できないと……」

 いや、そこはわたしのためでなく国のために(はげ)め。それにメイドたちがざわつくような発言をするんじゃないっ。

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