断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 うわ、どうしよ。あのメイドたちの表情、王子妃候補はこのわたしだって思ってそうなんだけど。
 やだっ、みんな誤解しないでっ。山田には魔力優秀なヒロインが別にちゃんといるんだからねっ。

 断罪コースも嫌だけど山田に選ばれるのもマジ勘弁してほしい。この怪しい雲行き、なんとか軌道修正しなくっちゃ。

「雪山では本当にご迷惑をおかけしました。わたくし、シュン様にどう謝罪すれば良いのかと、いまだに悩んでおりまして……」

 手紙でも散々謝ったけど、王子妃には向いてないってしっかりアピっとかないと。

「良いのだ、ハナコ。お前は何ひとつ悪くない」
「そのようなわけには……」

 手を握られたまま、瓶底眼鏡と見つめ合うこと数十秒。
 おふたりの世界を邪魔しちゃダメよ。って目くばせし合うの、マジで止めてっ。

 おかしいな。世間話ってふつう話が膨らまないんだよ。
 天気の話題に体調のご機嫌伺い。ましてや過去の粗相の謝罪から、なぜこうも雰囲気が甘くなる?

 華子、がんばってほかに話題を探すんだ。会話が続かないような、とにかくそんなクソつまんないヤツ。
 世間話の代表格って言ったら、共通の知人? 趣味の話? 休日の過ごし方?
 ダメだっ。テンパり過ぎて、良い案が見つからないっ。

 そのときてんとう虫が一匹、瓶底眼鏡にピタッと止まった。
 そうだ! 山田の素顔、確認しなきゃだった!

< 148 / 413 >

この作品をシェア

pagetop