断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「あっ……!」

 突然ユイナがふらりと倒れ込んだ。
 慌てて支えると、ユイナってばあちこち怪我してるんですけど。

「あなた、この傷はどうしたの?」
「ハナコ様には関係ないです」

 馬車とはぶつかってないって話だから、ここに来る前にはもう怪我してたってこと?
 よく見ると顔色もあまり良くなさそうだし。
 誰かとやりあって、逃げるために転移魔法で飛び出したとか?

「とにかく手当を。ここに治癒魔法を使える者はいて?」
「自分で治せるから大丈夫です。ハナコ様と違ってわたし優秀なんで」

 憎まれ口はいつも通りなんだけど。
 治癒魔法を発動させると、ユイナはその場にへたり込んだ。
 ちゃんと傷は治ったみたい。でも肩で息しててめちゃくちゃしんどそうだ。

「その症状は……あなた、魔力切れね?」

 わたしにも覚えがある。魔力でティッシュを立て続けに数枚引き寄せたとき、今のユイナと同じような状態になったから。
 ってか、自分の魔力のへなちょこ加減に、言ってて悲しくなってきたっ。

「しばらく休めば回復しますから。わたしのことは放っておいてください」
「そういうわけには……。いいわ、一度モッリ家に連れて行きます。あなたも馬車に乗りなさい」
「しかし公爵令嬢様、王家の馬車に予定外の者を乗せるなど……」
「何? わたくしの言うことがきけないの?」

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