断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 じわっと涙がにじむ。
 思わず抱き着くと、未希は黙って受け止めてくれた。

「何よ未希、今日はやけにやさしいじゃん。いつもは暑苦しいって言うくせに」
「わたしだってTPOをわきまえることくらいできんのよ」

 憎まれ口にふたりでふふっとなった。
 持つべきものは友ってよく言うけどさ。
 この世界に生まれ変わって、いちばんのラッキーは未希がいたってことかな?

 姉ちゃん、俺は? って、健太の情けない声が聞こえた気がした。
 大丈夫、わたしはひとりじゃない。

「うん、そうだよね。卒業したら好みのイケメン探さないとだし」
「泣いたと思えば……あんたってばホント単純よね」
「そこは揺れる乙女ゴコロと言ってよ」
「ま、すぐ復活できるのは華子の取り()だしね」
「でしょ?」

 仕方ないやつって感じで未希は肩をすくめて。

「調子乗りすぎ。次に弱音吐いたらぶっ飛ばすわよ?」

 お願いっ、そのときはまたやさしくなぐさめてっ。

 そんなこんなで慌ただしく時間は過ぎて。
 迎えた学園祭当日。
 無事にユイナと山田がキスしますように!
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