断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ハナコとして生きてきた記憶はしっかりある。
 だけど華子(わたし)の意識が邪魔をして、これまでのように公爵令嬢の態度がうまく取れそうもないんだけど。

(山田も普通に王子してて記憶とかなさそうだったな……)

 あー、頭痛い。
 ついさっきまで何の疑問もなく過ごしていた日常が、疑問ありまくりで一体どうすりゃいいんだ。

「せめて未希がなぁ……」
「わたしがどうしたって言うのよ?」
「うん、未希だけでも記憶があればすっごく心強いのに……って、え?」

 なんか今、何気に会話してなかった?

 ぽかんと顔を上げたわたしを見て、ジュリエッタがにやりと笑い返してきた。

「華子、あんたやっぱり思い出してたんだ」
「み、未希……? ほんとに未希なの!?」

 頷く未希に、思わずがばっと抱きついた。
 とたんにいやな顔をされ、ぐいっと肘で押し戻される。

「ちょっとやめてよ、暑苦しい」
「あああっ、やっぱ本物の未希だっ」

 幼馴染にすら容赦のないこの塩対応、まさに未希って感じだわ。感激しすぎて涙出そう。

「でもどうして今まで黙ってたのよ」
「言えるわけないじゃない。だってあんた普通に高慢ちきな悪役令嬢やってたし」
「あー、まぁそりゃそうか……」

 記憶が戻る前のハナコ(わたし)にそんなこと言おうものなら、ジュリエッタの立場は悪いものになってただろう。不敬だなんだと責め立てる自分の姿が目に浮かぶ。

 公爵令嬢なんだから人より偉いのは当たり前。ちょっと前まで本気でそう思ってた。

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