断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「でも、ケンタ。わたくしが保健室にいるって良く分かったわね」
「ああ、うん……ここにいるだろうから行ってやってくれって」

 健太は複雑そうな顔をして。
 そっか、山田に言われたんだ。制服リボンのブローチ使って常に監視してるんだもんね。わたしの行動なんて山田に筒抜けだ。

 胸元のリボンを外して、ヨボじいから借りたタオルでそれを包んだ。

「先生、こちらを預かっていてくださいませんか?」
「む、これは……なにやら魔力を感じますな」

 山田が仕込んだGPSに気がついたのかな。ヨボじいってやっぱり只者(タダモノ)じゃないのかも。
 先生に渡しとけば、山田も文句言いづらいだろうし。わたしがGPSの存在に気づいてるって、向こうは思っていないハズ。だからこれは抗議のつもり。
 これ以上、山田の好きにはさせない。そんな意思表示ってことで。

「今日はもう失礼させていただきますわ。わたくし、いろいろあって疲れてしまいましたから」
「後のことは気にせずゆっくり休みなされ。何かあったらいつでも相談に乗りますゆえな」
「ありがとうございます、先生」

 言葉だけうれしく受け取っとこう。
 やっぱりヨボじいを巻き込んだら申し訳ないもんね。

「先に帰るけれど、ケンタはこのまま学園祭をたのしんできて」
「いいよ、一緒に帰る。俺が転移魔法で家まで連れてくから」
「でもたいへんでしょう?」

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