断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 劇でかなり魔力を消費しただろうし、さっきも転移魔法使ってたし。その上わたしを運んだりしたら、健太魔力切れ起こしちゃうんじゃ?

「馬車で帰るから大丈夫よ」
「心配しないで。俺、そんなにへなちょこじゃないから」

 健太に手を握られた次の瞬間、もう自分の部屋の前にいた。
 おおう、転移魔法便利すぎ。

「未希姉ぇも心配してた。何か伝言ある?」
「え? 健太、また戻るつもりなの?」
「すぐ帰ってくるけど。その、報告もしてこないとだし……」

 あ、察し。
 ケンタの立場上、王子の山田にどうだったかを言いに行かなきゃならないんだな。

「……わたし、しばらく学園休もうと思う。それだけ未希に伝えといて」
「了解。じゃ、行ってくる」

 言うなり健太が目の前から掻き消えた。
 おおう、やっぱ転移魔法便利すぎだな。

 さて、これからどうするべきか。
 このまま泣き寝入りするのもシャクに思えて。でもギロチンエンドを回避しようにも、ゲーム進行がめちゃくちゃで先が読めなさすぎる。

 どれもこれも山田の奇行が原因だ。なんて考えてたら、キスの感触、思い出しちゃったよ。
 本当ならキスする相手はユイナのハズだったのに……。

 ああもうっ。
 ゲームの強制力、ちゃんと仕事しろっつうの!
< 196 / 413 >

この作品をシェア

pagetop