断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「それにしても、なんで山田のイベントに限ってゲームの強制力が働かないんだろう?」
「今回もちゃんと働いてたと思うよ?」
「だったらどうして山田はわたしのところに……」

 健太の言うことが本当だったら、劇の中で山田はユイナにキスしてたろうし。それに今ごろふたりはキャッキャウフフな関係になってたはずだよね。
 でもそういやあのときの山田、何かに(あらが)ってる感じに見えたっけ。

「俺もユイナとのイベント、何回か経験してるから分かるんだけどさ。あの強制力からはどうあっても抜け出せない。なのにシュン王子はそれを振り切ったんだ」

 ほう。それはなかなかの精神力。
 王子の身分も伊達(だて)じゃないって感じ?

「その顔……姉ちゃん、この意味まったく分かってないだろ?」
「意味って何よ?」
「シュン王子はそれだけ姉ちゃんが好きってことだよ!」

 え、なんで健太が怒ってんの?
 やけに熱くなっちゃって、いつもの健太らしくないっていうか。

「そ、そんなこと言われたって。だってハナコの中の人、もう華子(わたし)なんだよ?」

 悪いけど、山田が好きになったハナコはもうココにはいないんだ。

< 199 / 413 >

この作品をシェア

pagetop