断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「それでもだよ。だって姉ちゃん、この世界で過ごしてきた記憶もちゃんと残ってるんだろ?」
「そりゃ残ってるけどさ」
「だったら姉ちゃんは令嬢ハナコでもあるってことじゃんかっ」
「だからってわたしにキスしていいって話じゃないし。それとこれとはまったく別でしょ!?」
「ハイハイ、ストップ! 健太もそこでエキサイトしない!」

 未希が間に入ってくれて、健太ってば我に返ったみたい。バツが悪そうに目を逸らされた。

 どうして健太が山田の肩を持つのか分かんないんだけど。わたしもちょっと大人げなかったかな。
 山田が原因で姉弟喧嘩するのも馬鹿らしいしね。
 ここは何事もなかった(てい)で話を進めようっと。

「そう言えば、あのあと劇って大丈夫だった? ユイナのヤツ、山田にコケにされて大暴れとかしたんじゃない?」
「それは大丈夫。観客は戸惑ってたけどさ」
「え、ユイナ、あんだけのコトされてリアクションなしだったの?」

 なんか意外。いつも自分中心じゃないと気が済まないって感じなのに。

「あのときユイナは睡眠魔法で熟睡してたから」
「は? 熟睡?」
「うん。ユイナがさ、迫真の演技したいからって言って。キスの演技と同時に、王子が魔法を解いてユイナを覚ます手はずだったんだ」

 で、起きたらすべて終わってて、その上とんでもない騒動になっていたと。

「なんていうか、今回ばかりはユイナに同情しちゃうかも……」
「華子、あんた相当お人好しね」
「だって元凶はぜんぶ山田じゃん。山田がゲーム通りに行動してくれれば、わたしだっていらない苦労しないで済んだのに」
「そりゃまぁ、その方がこっちも対策立てやすいしね」
「でしょう?」

 まったく、ギロチン回避が最優先のはずなのに。ユイナの陰謀と山田の奇行、どこから手をつければいいのか分かんないんですけど。

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