断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「おほほ、とにかく喜んでいただけてよかったですわ」

 ま、いっか。山田も反省してるみたいだし、ヨボじいが責められることもなさそうだしね。
 とは言え、覚えてなくても受けた恩義はきちんと返さなくっちゃ。

「あの日はありがとうございました。わたくし、本当に助かりましたわ」

 もう一度ヨボじいにお礼を言ってから保健室をあとにした。

「ハナコ嬢!」
「ごきげんよう、ダンジュウロウ様。何かご用でも?」

 来るなり攻略対象と鉢合わせなんて、ほんと勘弁してって感じ。
 ユイナはまだ捕まってるらしいから、もうどうでもいいんだけど。

「いや、今日からハナコ嬢が学園に来るとケンタから聞いて……」

 なんだ、山田の差し金か。
 GPS付きの学年リボンはヨボじいに預けっぱなしだし。
 これはわたしがずっと来るの見張ってたんだな。ダンジュウロウも王子のお(もり)、たいへんだ。

「それでご用件は何かしら?」
「あ、いや、その、つまり……ハナコ嬢は大丈夫かと思ってだな」

 大丈夫だから登校してるんだけど? 
 見て分からないんか、って感じの雰囲気をかもし出したら。
 ダンジュウロウ、なんか困った顔してる。

 ちょっと意地悪しすぎたかな。立場上、仕方なく山田のおつかいしてるだけで、そもそもダンジュウロウは何も悪くないんだよね。

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