断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 一瞬ドキッとしちゃったけど。
 そっか、ユイナ無事に釈放されたんだ。
 自宅謹慎ってことは、まだ疑いが晴れたわけじゃないのかな……?
 帰ったら健太に聞いてみなくっちゃ。

 って思ったんだけど、なかなか時間が合わなくて。
 健太も忙しいのか、ここんとこ帰りが遅い日も多くてさ。休日もどこかへ出かけてるみたい。
 ふたりきりで話す機会が作れないまま、そうこうしてるうちにユイナのことも忘れかけてたんだ。

 そんなある夜、魔法実技の試験に向けて自主練してたんたけど。
 目の前の床にはティッシュがいくつか散らばってる。
 またひとつ丸めては、魔法を使ってゴミ箱へと放り込もうとした。

「ダメだわ。魔力を使うのは一度に三回が限界かも」

 ティッシュは手のひらに乗ったままで、ピクリとも動かなかった。
 ゴミ箱に届く以前の問題って感じ。

 繰り返すたびに飛距離も精度も下がっていくし。これは集中力を高めて一回で成功させないと、試験に合格するのは難しいかも。
 でも初めに比べれば上達してるよね。地道に訓練がんばらないと。

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